潤滑油はここが大事
important

潤滑油は機械の部品を滑らかに動かすために使われる液体やオイルです。

機械の部品が直接触れ合うので、摩擦により熱が発生し部品が磨り減ったりします。
潤滑油は部品と部品のすき間に入り込んで、摩擦や摩耗を減らす効果を発揮させます。

いろいろな役割をもつ潤滑油

役割 効果
摩擦防止 運転部品間の摩擦を減少させて機械全体の滑らかな動作を保ちます。 機械の効率が向上し、燃料消費量の削減します。
摩耗防止 機械部品間の衝撃を吸収・緩和。
機械部品間の摩耗を防ぐ。
部品の損傷を防ぎ、機械の長寿命化させます。
熱発生を抑える 機械の運転中に発生する熱を吸収し、分散させる。 機械の過熱を防ぎ部品の熱による変形や破損を防止します。
不純物の除去 機械内部に蓄積されたスラッジや煤を取り除く 機械がスムーズに動作し、本来の性能を発揮させます。 
機械の動作抵抗を減少させ、エネルギー消費を増大させます。
腐食や錆防止 機械部品の表面に保護膜を形成し、水分や空気による腐食を防ぐ。 腐食や錆による部品の交換や修理を減少させます。
コスト削減につながります。
これらの役割によって機械の長寿命化、騒音の低減、メンテナンスコストの削減などに効果を発揮させます。

いろいろな種類がある潤滑油

潤滑油は機械の種類や用途に合わせて、様々な種類のものが使用されています。

自動車のエンジンオイル、工場の工業用油、金属加工時に使われる切削油がその例です。
東京石油が取り扱う工業用潤滑油、金属加工油をご案内いたします。

工業用潤滑油

主な種類 役割 主な用途・使用シーン
油圧作動油 油圧システムで使用され、圧力を伝達する役割を果たします。
高い圧力下でも安定した性能を保ち、摩耗防止、防錆、温度制御などの機能を果たします。
低圧から高圧までの動作圧力に対応する各種の油圧機械
タービン油 水力、蒸気、ガスタービンの潤滑に用いられる油。
高温や高速回転に耐える設計がされています。
酸化安定性や水分離性が要求されます。
高度精製の高級タービン
汎用・多目的油 様々な機械や設備で使用できる汎用性の高い潤滑油です。
一般的な機械的要求に対応し、広範囲の用途に適しています。
軸受・ギヤ・油圧・摺動面など工作機械
ギヤ油 ギヤボックスや伝動装置の摩耗を防ぎ、スムーズな動作を実現する油。
高圧負荷に耐える特性や、極圧添加剤が含まれることがあります。
工作機械をはじめ、鉄鋼、鍛造、製紙、建設、鉱山、化学、荷役機械など一般産業機械の密閉歯車
摺動面油 機械の動く部分、特に摩擦が生じやすい箇所の潤滑に使用されます。
スムーズな動作を維持し、摩耗や腐食を防ぎます。
各種工作機械の摺動面
圧縮機油 圧縮機の潤滑に特化した油で、高温下での酸化安定性や低温での流動性が求められます。 各種圧縮機
真空ポンプ油 真空ポンプ内部の潤滑と密封を提供し、高い気密性を維持するための油です。
蒸気圧が低く、優れた酸化安定性と防錆特性を持ちます。
ロータリーポンプ、メカニカルブースターポンプの油回転ポンプ油
冷凍機油 冷凍機のコンプレッサー内で使用される油で、低温環境でも良好な流動性を保ちます。
冷媒との相容性も重要な特性です。
冷媒を使用する各種冷凍・冷房用
熱媒体油 熱を伝達するために使用される油で、高温での使用に耐えることができます。
熱交換システムなどで用いられます。
各種装置の加熱用熱媒体油
油膜軸受油 油膜軸受け(滑り軸受け)で使用される潤滑油で、金属表面間の油膜を維持して摩耗や摩擦を最小限に抑えます。 水分離性、酸価安定性を重視した油膜軸受油
食品機械用潤滑油・グリース 食品生産や加工に使用される機械で使われる安全な潤滑油。
非毒性で、万が一食品と接触しても安全な成分で作られています。
各種食品機械用NSF H1登録品
電気絶縁油 電気設備で使用される油で、絶縁性を持ち高電圧の下での使用に適しています。
変圧器やコンデンサなどに用いられます。
変圧器、輸入遮断器用

金属加工油

主な種類 役割 主な用途・使用シーン
切削油 金属の切削時に使用する潤滑油。
工具と加工材料の間の摩擦を減少させ、切削中に生じる熱を冷却させます。
工具の摩耗を減らし、加工精度を向上させ、作業効率化につなげます。
非鉄金属から炭素鋼、合金鋼などの切削加工、研削加工
熱処理油 金属の硬化、焼きなまし、焼きもどしなどの熱処理工程で使用される油。
急速に加熱された金属の冷却を制御し均一な冷却を通じて、金属の内部応力を最小限に抑え、変形やひび割れを防ぎます。
熱処理
防錆油 金属の表面に薄い保護膜を形成し、錆や腐食を防ぐ油。
加工や保管中の金属部品を保護するために利用され、水や湿気、その他の腐食性の環境要因から金属を守ります。
各種機械部品のさび止め
放電加工油 放電加工(EDM:Electrical Discharge Machining)に使用される油。
放電加工の放電プロセス中に発生する熱を散逸させ、表面仕上げを向上させ、電極の摩耗を最小限に抑えます。
自動車・航空機・電子通信関係の金型加工や、原子力・電子精密部品の加工などの放電加工時
プレス油/圧延油 金属の形成や伸延、平滑化の高圧プロセスで金属と機械の摩擦を減らし、潤滑性を高めます。
金属の種類や加工条件に応じて、粘度や添加剤を調整します。
冷間鍛造、引抜き、打抜きプレス加工

自動車用潤滑油

主な種類 役割 主な用途・使用シーン
ガソリンエンジン油 主にガソリンエンジンで使用される潤滑油。
エンジン内部の高温・高圧に耐える能力を持ち、エンジンの摩耗を防ぎ、清潔に保つ添加剤が含まれています。
ガソリン車用エンジンオイル
ディーゼルエンジン油 ディーゼルエンジン用の潤滑油。ガソリンエンジン油と比較して、より高い粘度と強力な添加剤が特徴。
ディーゼルエンジンはガソリンエンジンよりも高い負荷と摩耗にさらされるため、これに耐えうる潤滑性と保護機能が求められます。
DPF装着車対応ディーゼルエンジン用エンジンオイル
2サイクルエンジン油 2サイクルエンジン用の潤滑油で燃料と混合されて使用されます。
これは2サイクルエンジンがオイルパンを持たず、燃料混合物を通じて潤滑を行うためです。
焼き付き防止や摩耗防止の特性をもちます。
二輪車をはじめ、レジャーボート、農林業機械など2サイクルエンジン

潤滑油の成分・特性

潤滑油は、基本成分である「基油」と「添加剤」との組み合わせで作られます。基油と添加剤を適切に選ぶことで、潤滑油の性能を最大限高めます。
【基油】 主要成分である基油は潤滑をはじめ冷却、保護を含む基本機能を担います。
使用機械や環境に合わせて鉱物油、合成油、動植物油から適切な基油を選択します。
【鉱物油】 自然に存在する原油から精製。広範な応用範囲がありコストパフォーマンスにも優れる。
ただし高温や高圧下での安定性に限界がある。
【合成油】 化学合成によって製造。極端な温度や圧力の状況にも対応し、高い性能と安定性を実現。
鉱物油に比べコストは高いが、長期間の使用でその差を補います。
【動植物油 生物資源から得られる再生可能エネルギー。生分解性が高く環境への影響が少ないのが特徴です。
(特定の条件下での性能や耐久性に課題あり)
【添加剤】 「添加剤」は基油の性能を向上させ、特定の使用条件下での潤滑油の効果を高めます。
主に以下①~⑨の種類があり、用途やシーンに合わせて添加します。
① 耐荷重添加剤 高圧下でも潤滑膜を維持し、部品を保護する。
② 清浄分散剤 汚れや堆積物を分散させ、スラッジの形成を防止する。
③ 酸化防止剤 潤滑油の酸化を遅らせることで、潤滑油の寿命を延ばす。
④ 錆び止め剤 潤滑箇所にさびが発生するのを防ぐ。
⑤ 腐食防止剤 金属部品の腐食を防ぎ、部品の寿命を維持する。
⑥ 流動点降下剤 低温下での潤滑油の流動性を改善し、低温始動性を向上させる。
⑦ 粘度指数向上剤 温度変化による潤滑油の粘度変動を低減させる。
⑧ 消泡剤 空気やガスの混入による泡立ちを減少させ、潤滑油の劣化を防ぐ。
⑨ 抗乳化剤 潤滑油と水が混ざって乳化するのを防ぎ、潤滑性能を維持する。

潤滑油の性能を表す指標

■粘度
測定単位はセントストークス(cSt)またはセントポイズ(cP)で、温度によって粘度が大きく変化。
機械の種類や運転条件によって、適切な粘度の潤滑油を選ぶ必要があります。
■酸化安定性
潤滑油の酸化を抑える能力を示す指標。熱や機械的ストレスに強い潤滑油は、長期的なパフォーマンス維持に優れています。
■耐摩耗性
摩擦による機械部品の摩耗をどれだけ防げるかを示す指標。
耐摩耗性が高い潤滑油は、部品の耐用年数を延ばし、修理やメンテナンスのコスト削減につながります。

潤滑油を見直すべきタイミング

現場で起こる様々な課題を解決いたします。潤滑油で解決できる課題は非常にバリエーションがあります。
■人や環境への配慮
使用している油類による従業員への健康被害が懸念される。飛沫による周辺の汚れが著しいので対策を講じたい。
工場内の悪臭を改善したい。騒音レベルの低下や振動の減少を図りたい。
事故・故障 工作機械の作動不良や故障が頻発している。故障を未然に防止したい。
■コスト削減・燃費向上
製造工程におけるコスト削減を図りたい。機械のメンテナンス間隔を延長し、運用コストを削減したい。
エネルギー効率の向上を図りたい。
■コンプライアンス
消防法による保有量の制限を緩和させたい。環境保護基準や規制への適合が必要となります。
正しく選定することで、最大限効果を発揮するのが潤滑油。
東京石油は現行油のヒアリングを行い「課題」を見つけ、お客様の「問題点」を解決いたします。
【ヒアリング】
現在使用している潤滑油の種類、グレード、メーカー。使用期間、交換頻度、油量など。
潤滑油の汚れ、劣化、変色など。潤滑油の変更する場合の「使用条件」を確認します。
【確認】
機械の使用環境(温度、湿度、圧力など)機械メーカーの推奨する油類と仕様。機械の運転条件(速度、荷重、連続運転時間など)。
【選定】
使用機械や加工方法に適した潤滑油を選択します。
導入後は定期的な潤滑油交換をおすすめいたします。用途に合った潤滑油を選択したら、機械ごとに指定された適切なタイミング・方法・油量で交換する必要があります。

お問い合わせ

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